股関節周りの筋肉をほぐすだけでダイエット効果が上がるのだったら、さっそく試してみたいものですね。
床に座って、足を投げ出して前屈をすると、胸が太ももの前側にぴったりつくでしょうか。
とんでもない!私なんて足のつま先でさえ手が届かない。
いやいや、体が硬い以前に、お腹の脂肪が邪魔をして前に倒れることができない……。
体の柔らかさを競争する時には、前屈をして体がどのくらい手前に倒れるかで競い合うことが多いですね。
このとき、ほとんど前に倒れることができない方は、太ももの後ろ側やふくらはぎがつっぱって、それ以上前に倒れなくなってしまいます。
太もものスジを2、3本切れば、簡単に前に倒れそうな気分になってきます。
つまり、体が硬いということは、下半身で言うと股関節周りの筋肉が固くなっている状態のことをいいます。
筋肉が硬いとなぜ肥満につながるのでしょう。
もくじ
1 筋肉が硬いことと肥満の関係
2 股関節周りの筋肉
3 インナーマッスルと股関節
4 股関節は上半身と下半身の関所になる
5 太ももの後ろのハムストリングスのストレッチと注意点
6 腸腰筋ストレッチ
7 大殿筋のストレッチ
8 上半身のストレッチ
筋肉が硬いことと肥満の関係
代謝が悪いと、肥満につながると言われています。
ここで、筋肉の働きについて少し考えてみましょう。
筋肉は、身体を動かす時に必要になります。
しかし、それ以外にもう1つ大きな役割があります。
筋肉は「第二の心臓」と呼ばれています。つまり、筋肉が血管を押してポンプの役割りをするのです。
筋肉がしなやかでポンプの働きがよければ、元気よく血管を押して血液の流れを良くします。
血液の流れがよくなると、酸素や栄養分を体の隅々まで運ぶことができます。
栄養をもらった細胞は、大喜びで体のために一生懸命働き始めます。
すると内臓の動きが良くなり、消化や吸収の仕事をどんどん行なうため、代謝が活発になり、消費カロリーが増えて痩せ体質になることができるのです。
つまり筋肉をやわらかくしなやかにしておかないと、代謝が悪くなり、太りやすい体になるということなのです。
股関節周りの筋肉
股関節はたくさんの動きをします。脚を前に出したり後ろに下げたり、外側に出したり、内側にも動かすことができます。
また、足首を動かしながら同時に股関節も動かすことができるなど、2つの動きを同時に行なうこともできます。
このようなたくさんの動きをするために、股関節の周りには22の筋肉がついています。
この筋肉のうち、腰痛に影響を与える筋肉や、猫背や姿勢に関係してくる筋肉もあります。
腸腰筋 インナーマッスルの1つで、腰と股関節に関係をしています。
深層外旋筋 お腹周りのインナーマッスルで、股関節を回したり、衝撃を吸収します。深層外旋筋の中の梨状筋という小さな筋肉が突っ張ると、腰痛の原因になります。
大殿筋 おしりの大きな筋肉で、歩くときに使います。
内転筋群 太ももの内側の筋肉で、開脚をする時に突っ張る場所です。
外転筋群 太ももの外側の筋肉で、重心を安定させます
。
大腿四頭筋 太ももの前の筋肉です。
ハムストリングス 太ももの後ろ側の筋肉で、前屈をすると突っ張る部分です。
インナーマッスルと股関節
股関節に関係する腸腰筋は、インナーマッスルの1つです。
インナーマッスルは体の奥深くにある筋肉のことで、さわることができません。
腹筋や腕の筋肉のように、さわれる場所にある筋肉をアウターマッスルと呼びます。
インナーマッスルは、たくさんの関節の動きがスムーズに行なわれるように調節する筋肉です。
関節が前後に動くだけではなく、ひねったり回したりする時に大きく関係してきます。
インナーマッスルは、普通の筋トレで鍛えることができず、ストレッチによってやわらかくほぐすことができます。
つまり、股関節の周りの筋肉をやわらかくするには、太ももの後ろ側のハムストリングスをストレッチしたり、インナーマッスルをしなやかにする必要があります。
これらの筋肉を刺激することによって代謝が上がり、血行がよくなり、痩せ体質につながります。
また、インナーマッスルは姿勢筋とも呼ばれています。姿勢筋を鍛えると、骨盤前傾や後傾などのゆがみが矯正されて、ぽっこり出たお腹がひっこむことになります。
また、ストレッチによって背中の筋肉が刺激を受け、猫背も矯正されていきます。
股関節は上半身と下半身の関所になる
下半身中心に体を柔らかくするために股関節周りのストレッチを行なうと、痩せ体質につながることがわかりました。
血液は、心臓から出発して全身を駆け巡り、また心臓に戻ります。
心臓に戻る血液は、老廃物や二酸化炭素をたくさん含んでいます。
心臓から下る血液は、股関節部分を通って足の先まで流れています。
しかし、太ももの筋肉が硬くこわばっているとポンプの働きが弱くなり、足先にまで行った血液が、心臓に戻る手助けができにくくなります。
すると、血液は太ももやふくらはぎに溜まることになり、余分な水分が血液の中に戻ることができず、それがむくみとなります。
体には血液と同じようにリンパ液も流れていて、老廃物はリンパ液に吸収されます。
リンパ液の流れが悪くなると水分と同じように太ももやふくらはぎに老廃物がたまり、それが蓄積すると脂肪細胞の間に入り込んで、コラーゲンと合体してセルライトができてしまいます。
したがって、ダイエットのためには、股関節周りの筋肉をやわらかくして、血液やリンパ液がスムーズに流れる状態を作る必要があります。
太ももの後ろのハムストリングスのストレッチと注意点
ハムストリングスをやわらかくしておくと、猫背ケアや、ぽっこりお腹が引っ込み、ヒップアップができるなどのダイエット効果だけではなく、腰痛を和らげる効果も期待することができます。
椅子を使ってストレッチ
1 立ち上がって、椅子の上に片足を伸ばして乗せます。
2 足首を曲げたまま体を前に倒します。太ももの後ろ側が十分伸びていることを意識して30秒キープしましょう。
立ったままでストレッチ
1 立ち上がって右足を一歩前に出します。
2 背中を曲げずに上体をまっすぐにしたまま、ごめんくださいと股関節から上体を曲げ、30秒キープしましょう。
腰から体を曲げるとストレッチにならないので、気をつけましょう。
このストレッチならば、仕事中に椅子から立ち上がって、何かを取るふりをしながら体を前に倒して、ストレッチを行なうことができます。
膝立ちストレッチ
1 両膝をついた状態で立ちます。
2 右足を前に出し、足首を曲げてかかとで足を支えます。
3 手を床について、上半身をまっすぐにしたまま体を前に倒して、30秒キープしましょう。
座ってストレッチ
1 床の上に脚を投げ出して座ります。
2 片足を曲げて、曲げた方の足の裏を、反対側の太ももの内側に触るようにします。
3 上半身をまっすぐにしたまま、ゆっくりと前に倒れていき、30秒キープしましょう。
せっかくハムストリングスのストレッチを繰り返しても、同じ姿勢で座り続けていると、筋肉は再びこわばります。
何も用事がなくても、1時間に1度は立ち上がって体を動かしましょう。
また、立っているときは、両足で均等に体重を支えましょう。片脚に重心を置くと、使われる筋肉のバランスが崩れて、どこか1か所に力が入り、その場所が緊張してこわばってしまいます。
腸腰筋ストレッチ
腸腰筋をやわらかくして股関節周りの緊張をゆるめると、腰痛予防や猫背がケアされて、姿勢が美しくなります。
脚を前後に伸ばしてストレッチ
1 立ち上がって、片足を大きく一歩前に出します。
2 上体をまっすぐに保ちながら、ゆっくりと腰を落としていきます。後ろ側の足の太ももの前側と、お腹のおへその横が突っ張る感じがしたら、30秒キープしましょう。
このストレッチを続けると、だんだん足の前後の開き方が大きくなり、体操選手のような前後開脚も夢ではなくなります。
仰向けでストレッチ。
1 仰向けで寝転びます。
2 片方の膝を抱えて、胸の方に引き上げていきましょう。このとき、伸ばしている足をより遠くまで伸ばすように意識しながら30秒キープしましょう。
大殿筋のストレッチ
1 床にあお向けになって寝転びます。
2 右の膝を抱きかかえて。左の胸に近づけるように股関節を深く斜めに曲げていきます。伸びきったところで30秒キープしましょう。
上半身のストレッチ
股関節周りを中心に、体をやわらかくすることのメリットを考えてきましたが、上半身も下半身同様やわらかくしておきましょう。
犬や猫が伸びをした時のポーズ
腕や背中の柔軟性が上がります。
1 正座をして膝の前に手をつきます。
2 息を吐きながら手を前に滑らせて、あごや胸を床に近づけながら背中を大きく伸ばします。30秒キープしたら息を吸いながら正座に戻りましょう。
脇を伸ばす
ラジオ体操の脇を伸ばす動きを行ないましょう。
1 両足を少し開いて立ちます。
2 左手を腰に置き、右手を頭の上に上げて、体全体を左側に倒します。ラジオ体操のように反動はつけずに、左側に倒したまま30秒キープしましょう。
体を柔らかくするためのストレッチは、すべてダイエットにつながります。
また、全身の柔軟性を上げておくと、急な動きにもしなやかに対応ができ、怪我を防ぐことができます。
バレリーナにあこがれて、開脚や片脚を高く上げる動作が美しくできるようになるくらいに、全身がやわらかくなるといいですね。
コメント