肥満やダイエットの天敵「脂肪」の話しをしましょう

女性はてな

 

私たちのようにダイエットをしている者は、「脂肪」という言葉を聞くと、ついつい敏感に反応してしまいます。

 

「脂肪」という言葉がついているものは、皮下脂肪や内臓脂肪など、たくさんありすぎて違いがよくわかりません。

 

脂質は炭水化物やたんぱく質と同様に、体にとって大切な栄養素です。

 

体の中で多すぎると肥満を招きますが、不足すれば病気の原因となってしまいます。

 

今回は、「あぶら」というものを、健康とダイエットの面から正しく理解して行こうと思います。

もくじ

1.油と脂
2.脂肪酸
3.体脂肪
4.脂肪細胞
5.中性脂肪
6.皮下脂肪
7.内臓脂肪
8.メタボリックシンドローム
9.飽和脂肪酸と不飽和脂肪酸
10. 必須脂肪酸
11. トランス脂肪酸
12. コレステロール
おまけ1. 体脂肪計とは何?
おまけ2.飲酒と脂肪

1.油と脂

訴える医師

 

「あぶら」には油と脂があります。

 

何となくダイエットの時には脂の方が使われますが、一応違いがあります。

 

油と脂は、融点(溶ける時の温度)の違いによって分けられています。

 

油 さんずいがついている油は、文字通り常温で液体のものをいいます。サラダ油やごま油がなど油です。

 

脂 常温で固体のものを「脂」と呼びます。肉の脂身やバターは脂になります。

2.脂肪酸

脂肪酸は、体の中に吸収されるときや、体の中で利用される時に脂肪酸の形になります。

 

脂肪酸は炭素、酸素、水素の3つの原子の組み合わせでできています。

 

3つの元素のつながり方の違いによって、脂肪酸の性質が異なります。

 

私たちが聞いたことのある脂肪酸には、酢酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、α−リノレン酸、エイコサペンタエン酸)(EPA)、ドコサヘキサエン酸(DHA)などがあります。

 

脂肪酸は、細胞の表面にある膜(細胞膜)を構成する成分になったり、ホルモンのバランスを整えたり、ビタミンの吸収を助けたりなどたくさんの重要な働きをしています。

 

大切な栄養素なので、絶対に不足することがないように体の中にしっかり蓄えられてしまうので、肥満につながってしまいます。

3.体脂肪

体脂肪とは、体の中にあるすべての脂肪のことをいいます。

 

後に出てくる中性脂肪も、皮下脂肪も、内臓脂肪もすべて体脂肪です。

 

体脂肪が増えると、肥満につながります。

 

しかし体脂肪を蓄えることによって、ホルモンを構成する成分になり、体温を保ち、外側からの圧力に対して内臓を守るクッションとしての役割もあります。

4.脂肪細胞

脂肪細胞とは、細胞の中に「脂肪滴」というものを持つ細胞のことで、白色脂肪細胞と褐色脂肪細胞があります。

白色脂肪細胞

白色脂肪細胞は文字通り白っぽい色をしている細胞で、全身にある脂肪細胞はほとんどが白色脂肪細胞です。

 

白色脂肪細胞は、下腹部やお尻や太もも、背中、内臓のまわりなどに多く、皮下脂肪や内臓脂肪として蓄積していきます。

 

これまでは、白色脂肪細胞は乳児の頃にその数が決定されるとされていましたが、最近の研究では、食べ過ぎや運動不足などによって、すでにある白色脂肪細胞がパンパンになると、新たに脂肪細胞の数を増やすことがわかってきました。

褐色脂肪細胞

白色脂肪細胞は、中性脂肪として溜め込まれるのに対して、褐色脂肪細胞は、余分な脂肪を分解して熱を出すことによって、エネルギーを消費してくれる働きがあります。

 

ダイエット面で考えると、エネルギーを消費してくれる脂肪細胞なので、大きく注目をされていますが、褐色脂肪細胞は肩甲骨の周辺やわき腹など、限られた部分にほんの少しだけしか存在していません。

 

また、褐色脂肪細胞の数も加齢と共に減少し、特に40歳以降は、その数は激減して行きます。

 

そのために、この褐色脂肪細胞が減ることによって、中年太りになるのではないかと言われています。

5.中性脂肪

食事をして体に取り込まれた脂肪は、小腸で吸収されて血液の中に入ります。

 

血液中の脂肪のうち使われなかったものは、中性脂肪として、酵素の働きによって脂肪細胞に貯蔵されます。

 

その他にも中性脂肪は肝臓でも合成されていて、炭水化物を多く食べても増加してしまいます。

 

中性脂肪は嫌われ者ですが、生きていく上で必要なエネルギー源なので、ある程度は必要な成分となります。

 

健康診断で引っ掛かる中性脂肪は、食事で直接取り込まれた中性脂肪ではなく、肝臓に貯蔵された脂肪が再び血液中に分泌された中性脂肪の値です。

6.皮下脂肪

お腹脂肪つまむ女性

 

皮下脂肪は、内臓脂肪以外の体脂肪のことで、指でつまむことができる脂肪です。

 

皮下脂肪の特徴は、
皮膚のすぐ真下に蓄積されるので、つまむことができて見た目にわかりやすい脂肪です。

 

内臓脂肪のように生活習慣病として悪さをしないので、病気のリスクはなく、冬の寒さの断熱効果や、内臓を守るためのクッションの役割をしてくれます。

 

皮下脂肪は、男性よりも女性の方が増えやすいという特徴があるので、女性は二の腕やお尻に脂肪がつきやすく、体が丸みを帯びます。
これは、女性ホルモンの分泌によるものでもあるので、加齢によりホルモンのバランスが崩れると、脂肪の付き方に変化が出てきます。

 

しかし内臓脂肪と比べると、蓄積しにくく落ちにくいので、ダイエットのためのトレーニングでも長期間かかってしまって、女性が頭を悩ませる原因となります。

7.内臓脂肪

内臓脂肪とは、内臓のまわりにつく脂肪です。

 

皮下脂肪と比べて合成や分解の代謝が活発なので、内臓脂肪が増えると、分解された大量の遊離脂肪酸が血管に流れ込みます。

 

大量の遊離脂肪酸は、血管を通って肝臓へ流れ込みます。すると肝臓のインスリン感受性が低下し、高インスリン結晶を発症します。

 

また、血管に流れ込んだ大量の脂肪酸が、中性脂肪を合成して脂質異常症を発症させます。

 

これらは、メタボリックシンドロームを引き起こす原因となります。

 

内蔵脂肪の特徴は、
内臓脂肪は体の奥深くにつく脂肪なので、外側から見てもわかりません。

 

そのため、痩せ体質の方でも内臓脂肪の量が多い方がいます。

 

内臓脂肪が多くなり過ぎると、お腹だけがぽっこりとふくれてきます。これは中年男性に多い症状です。

 

内臓脂肪が増えすぎて一番怖いのが、血管系の病気になることです。

 

内蔵脂肪が増え過ぎると、血液中の中性脂肪やコレステロールが増えて、インスリンの働きが低下するために血糖値が上がります。

 

そのため、動脈硬化や糖尿病や高血圧などの生活習慣病になりやすくなります。

 

男性は全身に筋肉が多くついているので、体脂肪を貯めるスペースが少なく、お腹周りの内臓のまわりに脂肪がついてしまうため、内臓脂肪は女性よりも男性の方が増えやすいと言われています。

 

内臓脂肪は、エネルギーとして蓄えやすく分解もしやすいという性質があるので、貯まりやすいけれども落ちやすい傾向にあります。

8. メタボリックシンドローム

メタボリックシンドロームとは、血管系の病気になる前の予防概念です。

 

1998年に、WHO(世界保健機関)がメタボリック症候群という名前で診断基準を発表しましたが、世界基準はなく、その数値は国際的に統一されてはいません。

 

日本の基準は
●ウエスト周囲 
男性85cm 以上、女性90cm 以上である

 

これに加えて、次の2項目以上に該当すると、メタボリックシンドロームであると診断されます。
●脂質異常症
トリグリセリド値 150mg/dL以上
HDL コレステロール値 40mg/dL未満

 

●高血圧
最高血圧は、130mm H g 以上
最低血圧は、85mmH g 以上

 

●高血糖
空腹時血糖値 110mg mg/dL以上

9.飽和脂肪酸と不飽和脂肪酸

脂肪には、飽和脂肪酸と不飽和脂肪酸があります。

 

飽和脂肪酸は、肉や乳製品などに多く含まれています。

 

飽和脂肪酸は常温で固体なので、脂肪酸を取り過ぎると血管の壁に着きやすく、悪玉コレステロールであるLDLコレステロールを増やして、動脈硬化の原因になります。

 

飽和脂肪酸は、脂肪酸を取り過ぎると体脂肪として蓄積されてしまい、肥満や糖尿病や心筋梗塞などの生活習慣病の原因となってしまいます。

 

そのため、肉や乳製品などの動物性の脂肪は、適度に抑えることが必要です。

不飽和脂肪酸

不飽和脂肪酸は、オリーブオイルのように常温で液体なので、体内でも固まりにくく、貯められにくい脂肪です。

 

不飽和脂肪酸は、一価不飽和脂肪酸と多価不飽和脂肪酸に分けられます。

一価不飽和脂肪酸

一価不飽和脂肪酸は、植物に多く含まれています。血液中の悪玉コレステロール(LDL コレステロール)の値を下げてくれます。

多価不飽和脂肪酸

多価不飽和脂肪酸は、さらにオメガ6とオメガ3に分れます(必須脂肪酸)。

 

多価不飽和脂肪酸は、魚や大豆、油、卵などに含まれています。

 

血中の中性脂肪や悪玉コレステロールの値を、直接下げる効果があります。

 

従って、動脈硬化による病気や、狭心症や脳梗塞、脳卒中などに対する予防効果も高く、骨密度への効果も期待されています。

 

飽和脂肪酸と一価不飽和脂肪酸と多価不飽和脂肪酸は、3:4:3の割合で摂取すると良いと言われています。

10.必須脂肪酸

多価不飽和脂肪酸は、オメガ6(n-6系脂肪酸)とオメガ3(n-3系脂肪酸)に分れて、必須脂肪酸と呼ばれます。

 

必須脂肪酸は人体に欠かせない脂肪酸ですが、体内で合成できず、食事で摂取しなければなりません。

 

必須脂肪酸は、細胞膜やホルモンを作る原料になります。

オメガ6(n-6系脂肪酸)

n-6系脂肪酸には、リノール酸、γ−リノレン酸、アラキドン酸があります。

 

コーン油や大豆油などの植物性脂に含まれていて、血中のコレステロール値を下げる役割があるため、動脈硬化の予防や、血圧や血糖値を低下させる働きがあります。

 

n−6系脂肪酸の1日の必要摂取量は7〜12g であり、現代の食生活では過剰摂取気味となっています。

 

n-6系脂肪酸を過剰摂取すると、アレルギー症状を重くしたり血糖値が下がりすぎたり、心不全の原因になることもあります。

オメガ3(n−3系脂肪酸)

n−3系脂肪酸には、α−リノレン酸、EPA、DHAがあります。

 

亜麻仁油、エゴマやうなぎ、はまち、さんま、いわし、さばなどの魚類に多く含まれています。

 

n−3系脂肪酸には、有害物質であるトランス脂肪酸を阻害する働きがあります。

 

1日の必要摂取量は2〜2.9g ですが、普段の食生活では不足気味となっています。

 

n−3系脂肪酸が不足すると細胞が活性化できなくなり、肌のターンオーバーの周期が影響を受けて、肌荒れやニキビなどの原因になります。

 

また、基礎代謝も低下して、全身の細胞に血液を通して栄養を行き渡らせる力がなくなるので、太りやすくなります。

11.トランス脂肪酸

不飽和脂肪酸には、炭素の結合の周りの構造の違いによって、シス型とトランス型の2種類が存在します。

 

天然の不飽和脂肪酸のほとんどはシス型です。

 

トランス脂肪酸は、天然の食品に含まれているものと、油脂を加工・精製する工程でできるものがあります。

天然の食品に含まれているもの

牛肉や羊肉、牛乳や乳製品の中には、微量のトランス脂肪酸が含まれています。

油脂の加工・精製でできるもの

マーガリンやショートニングや、それらを原料にして作ったパンケーキ、ドーナツなどにトランス脂肪酸が含まれています。

 

トランス脂肪酸を取り過ぎると、悪玉コレステロールが増えて、善玉コレステロールが減ってしまうことがわかっています。

 

日常的にトランス脂肪酸を多く摂ると、心臓病のリスクは高くなります

12.コレステロール

コレステロールとは、血液の中を流れる脂質の一種で、体脂肪の細胞膜に蓄積されます。

 

コレステロールは、7割が肝臓などの体内で合成されて、3割は食事から採り入れられます。

 

一般的にコレステロールというと悪者扱いになりますが、体の中で重要な役割を果たしています。

 

コレステロールは、ひとつひとつの細胞の膜を構成する成分です。

 

水分の調整が必要な時に分泌される副腎皮質ホルモンや、性ホルモンの材料になります。

 

消化吸収を助ける働きをする、胆汁酸(消化液)の材料になります。

 

コレステロールの中にはHDLコレステロール(善玉コレステロール)やLDLコレステロール(悪玉コレステロール)と呼ばれるものがあります。

HDLコレステロール(善玉コレステロール)

善玉コレステロールは、血液中に残ったコレステロールを回収して、肝臓に運ぶ働きをしています。

 

回収されたコレステロールは、ホルモン、胆汁酸の材料になったり、いらなくなれば排泄されます。

LDLコレステロール(悪玉コレステロール)

悪玉コレステロールは、コレステロールの運搬係で、血管内を通って全身を巡っています。

 

しかし、運び過ぎると使わない分は血液中に残ってしまい、それが血管にしみ込んで酸化すると、動脈硬化の原因となってしまいます。

おまけ1.体脂肪計とは何?

体脂肪計で測る数値によって、中性脂肪の量がある程度わかります。

 

しかし、例外もあります。

 

中性脂肪の値が低くても、体脂肪率が高い人がいます。またその逆も存在します。

 

見た目が痩せていても、体脂肪率が高い方は、隠れ肥満と呼ばれています。

 

体脂肪率の測定方法は、体に微電流を流して、電気を通さない部分が脂肪であると判断して計測をします。

 

そのため、測定直前の食事の質や量によっても、体脂肪の数値が大きく変わるようです。

 

体脂肪計は、およその目安として使いましょう。

おまけ2. 飲酒と脂肪

お酒を飲むと太りやすくなります。太るからと言って、大好きなビールを我慢している方も多いのではないでしょうか。

 

でも、アルコールが直接体脂肪になるわけではありません。

 

今回の脂肪のはなしの最後は、アルコールによって体脂肪が増える謎の説明をしましょう。

 

アルコールは、人の体にとっては有害な物質です。

 

肝臓は、体内の有害物質を撃退する係です。

 

アルコールを飲むと、肝臓ではアセトアルデヒドという物質に分解します。

 

肝臓にとっては、有害物質の処理は一番大切な仕事です。

 

ですから、アルコールが摂取されている間は、肝臓は有害物質排除の仕事が忙しく、いつも行われているグリコーゲンの貯蔵の作業がおろそかになってしまいます。

 

普段ならば、食後に上昇した血糖はインスリンがグリコーゲンに変えて、筋肉や肝臓に運びます。

 

そしてさらに余っている血糖は、中性脂肪となって脂肪細胞へ運ばれます。

 

しかし、お酒を飲んでいる最中は、アルコールの解毒に忙しい肝臓はグリコーゲンを引き受ける暇がありません。

 

そこで困ったグリコーゲンは、中性脂肪になって脂肪細胞の方に行くしかなくなるのです。

 

こうして、飲酒が続くと太りやすくなってしまうのです。

 

また、居酒屋などでは脂たっぷりのメニューがずらりと並んでいます。

 

さらに、アルコールによって血液の循環がよくなりすぎて、消化が活発になったり、摂食中枢が麻痺して際限なく食べ過ぎてしまうことなども、肥満の原因につながってしまいます。

 

こう言った理由で、お酒はひとりで静かに飲んでも、大人数で楽しく飲んでも、体脂肪が蓄積しやすくなってしまうのです。

 

肥満やダイエットには、「脂肪」という言葉が始終付きまとってきます。

 

今回は、よく目や耳にはするけれど、違いが分からない脂肪に関する言葉を説明してきました。

 

脂肪は、本来は体にはなくてはならない必要な栄養素のはずなのですが、必要以上摂取すると、健康にとっても美容にとっても悪者になってしまいます。

 

おいしいものは、なぜか脂質が含まれているものが多いのです。

 

さっぱりとした食事は嫌われ者ですが、美容と健康のために、おいしいものは時々自分へのご褒美として食べる程度にしておきましょう。