「筋トレを行なっているのに、なかなか効果を感じることができない」
「歳をとっているわけではないのに、階段の上り下りがつらい」
「ダイエットに成功したと思ったら、あっさりリバウンドしてしまった」
誰もが、このような悩みを抱えているのではないでしょうか。
これらの理由は、筋肉が衰えたり、効果的に筋肉増量ができていないからではないでしょうか。
そこで今回は、筋肉増強栄養素のロイシンに注目をすることにしました。
筋肉量を増やしたり、筋肉のダメージの回復につながったりなど、ロイシンは筋力アップと大きな関係があるようです。
それでは、ロイシンとは一体どのようなものなのか、難しいことは一切抜きにして調べてみました。
もくじ
1.筋肉増強栄養素ロイシンってなに?
2.ロイシンとBCAA
3.ロイシンとプロテイン
4.ロイシンとHMB
5.ロイシンの効果
6.ロイシンの健康向上効果
7.ロイシンと女性とダイエット
8.ロイシンと高齢者
9.ロイシンが多く含まれる食品
10.ロイシンを飲むタイミング
11.まとめ
1.筋肉増強栄養素ロイシンってなに?
筋肉増強栄養素ロイシンは、筋肉を作っているたんぱく質の材料となるだけでなく、たんぱく質を作るように促す働きがあります。
ボディビルダーや筋肉増強をこころがけている方にとっては、アミノ酸のなかで、ロイシンが最も重要な成分になります。
2.ロイシンとBCAA
筋肉増強栄養素ロイシンは、たんぱく質が分解してできる必須アミノ酸(※)のひとつです。
必須アミノ酸には、分岐鎖アミノ酸(炭素がまっすぐではなく、枝分れしてついている構造)と呼ばれる、3つのアミノ酸が含まれています。
分岐鎖アミノ酸(BCAA )と呼ばれるアミノ酸は、バリン、ロイシン、イソロイシンの3種類です。
筋肉量は、年齢と共に低下していきます。
そこで最近では、ボディビルダーやマッチョでなくても、運動を行なって筋肉量の低下を防いでいかなければならないと言われています。
また、ダイエットのキーポイントも、適度な食事制限と運動と言われていて、健康的に生きることと筋肉量を増やすことが、同じ目線で見られるようになってきました。
そこで、必要となるのがたんぱく質です。
たんぱく質は、摂取されると消化をされて、まずペプチドに分解されます。
たんぱく質は、ペプチドに分解されてからさらにアミノ酸に分解されます。
この分解されたアミノ酸の中に、筋肉増強栄養素ロイシンが含まれています。
ロイシンは体内で作ることができないため、食事やサプリに頼ることになります。
ロイシンを摂取すると、「たんぱく質を合成するために刺激を与える」というスイッチが入ります。
ロイシンを摂取することによって、アミノ酸の量が増えたことが筋肉発達経路に伝えられ、「筋肉を作るよ!」というスイッチが入ります。
「筋肉を作るよ!」スイッチが入るだけで骨格筋の発達がスタートするので、 BCAA サプリの中ではロイシンが最も重要な成分となり、筋肉増強栄養素とも呼ばれています。
必須アミノ酸
私たちの体は、20種類のアミノ酸で構成されています。
必須アミノ酸とは、体の中で作ることができないので、食事によって摂取しなければならないアミノ酸です。
体の中で作ることができるアミノ酸は、非必須アミノ酸と呼ばれています。
必須アミノ酸は、バリン、ロイシン、イソロイシン、メチオニン、リジン、フェニルアラニン、トリプトファン、ヒスチジン、スレオニン(トレオニン)の9種類で構成されています。
3.ロイシンとプロテイン
筋トレというと、プロテイン摂取というイメージがあります。
市販されているプロテイン飲料には、ホエイ(※)が原料になっているものと、大豆(ソイ)が原料になっているものがあります。
単なるたんぱく質の補給目的であれば、どちらの原料のプロテインでもよいのですが、筋トレの効果を上げるために必要なロイシンは、ホエイに多く含まれています。
ホエイプロテインには、大豆プロテインや牛肉や卵と比べても、ロイシンの含有量が多いと言われています。
運動後にホエイプロテインを摂取すると、血液中のロイシンの濃度が増加することがわかっているようです。
また、運動後に一気に規定量のホエイプロテインを摂取することによって、たんぱく質が急速に吸収されて、血液中のアミノ酸の濃度が高まると言われています。
プロテインは、筋肉量を増やしたい方だけではなく、加齢に伴って筋力が落ちている方やダイエットで必要な栄養素が不足している方におすすめします。
ただし、カロリーがあるので、飲み過ぎには注意しましょう。
ホエイ
ヨーグルトの透きとおった黄色いうわずみ液がホエイで、乳清とも呼ばれています。
ホエイは、牛乳から乳脂肪分やカゼインなどを取り除いたものになります。
高たんぱくで低脂肪なので、プロテインのサプリメントに用いられています。
4.ロイシンとHMB
口から摂取したたんぱく質は、
たんぱく質→ペプチド→アミノ酸(ロイシン)→ 代謝によりHMB
と分解を続けます。
筋肉の発達やダメージを受けた筋繊維の修復には、ロイシンが代謝されたときにできるHMBの働きを期待するとよいそうです。
つまり、ロイシンを摂取することによって、その代謝物である HMBをたくさん生成することが大切になります。
HMBは、プロテインやBCAAなどに比べるとまだそれほど一般的ではありませんが、2010年に日本での販売が認可されました。
HMB を摂取すると、
HMB摂取→《ペプチド→アミノ酸(ロイシン)》→ HMB
となり、《ペプチド→アミノ酸(ロイシン)》の部分を一気に飛ばして、直接筋肉にHMBが届けられることになります。
そのため、筋肉の増量やダメージを負った筋肉の回復のスピードが速くなり、筋トレの効果がアップするといわれています。
5.ロイシンの効果
筋肉増強栄養素ロイシンは、筋肉中の細胞製造を活発化させたり、筋たんぱく製造のための重要な材料になります。
私たちの筋肉の中には、細胞が分裂をしたり生きていくために重要な役割を果たす因子があります。
ロイシンには、この因子を活性化させる役割があると言われています。
つまり、ロイシンを摂取すると、筋肉製造工場に電源が入るようなものです。
さらに、ロイシン自体も活躍してたんぱく質合成の材料となるため、筋肉の増加やダメージを負った筋肉の回復を早める役割が期待できます。
さらに、筋力をつけて脂肪を落としたい時にロイシンを摂取すると、体重や体脂肪は大きく減少しても、筋肉が減少することを防ぐことができるともいわれています。
6.ロイシンの健康向上効果
ロイシンには、筋トレによる効果のほかにも、健康上でも重要な効果があると言われています。
肝機能のケア
ロイシンには、弱った肝臓の機能を回復させたり、肝臓そのものを強化する働きがあるとして期待をされています。
お酒を飲むと、肝臓に負担がかかります。
これは、肝臓によってアルコールの毒素を分解するためです。
このとき、有害物質の分解を促すのがロイシンであると言われています。
肝機能の向上により、肝硬変などの肝臓系の病気を予防する働きもあるそうです。
また、肝臓の働きが強化されることによって、グリコーゲンが活発に合成されるともいわれています。
グリコーゲンの合成
私たちが口から摂取したご飯やパンなどの炭水化物(糖質)は、グリコーゲンとなり、筋肉の中に貯蔵されます。
貯蔵されたグリコーゲンは、生活のエネルギー源として利用されます。
このグリコーゲンを筋肉に貯蔵するのがBCAAであると言われています。
ロイシンが不足するとグリコーゲンの貯蔵も減り、エネルギー(体力)を保つことができなくなります。
グリコーゲンの量が多ければたくさんのエネルギーを作ることができるので、ロイシンはグリコーゲンの合成に一役買っているといえるかもしれません。
グリコーゲンが減少して体内のエネルギーが足りなくなると、筋肉を分解してエネルギーとするので、筋肉の量が減ってしまいます。
そのため、グリコーゲンは筋肉にとっても体にとっても重要な栄養素となる可能性があります。
疲労回復
ロイシンはたんぱく質の材料となり、さらにたんぱく質作りの工場に電源をいれるため、筋肉の回復が早まり、疲れにくい体になると考えられます。
7.ロイシンと女性とダイエット
今まで、筋肉増強栄養素といわれるロイシンはアスリートや激しい筋トレを行なう方にとっての必須サプリメントでしたが、最近では、ダイエットにも注目をされるようになってきました。
ダイエット、特に女性にとってのダイエットは、永遠の課題のようなものです。
体重計に乗り増えた数値を見ると、その日から食事の量をかなり減らして、体重落としに励みます。
ところがこの時、脂肪と共に筋肉まで減ってしまいます。
食事を減らすと、体内に摂取するエネルギーが不足します。
体の中では、生命を維持するために、何とかしてエネルギーを生産するように努力をします。
そこで、エネルギーとして使われてしまうのが筋肉なのです。
そのため、大幅な減量を食事制限だけで行おうとすると、筋力がかなり消費されてしまいます。
この状態で希望の体重になったからといって食事を元に戻すと、大変なことが起こります。
体の中では、エネルギーを消費するための筋肉が減っているので、口から摂取したエネルギーは溜まる一方です。
こうして、しばらくするとリバウンドという悲劇を迎えることになってしまいます。
そのため、ダイエット中でも筋肉量を減らさないように、ある程度の努力をしなければなりません。
むしろ、筋肉の量を増やしたほうがよいくらいです。
ロイシンは、ダイエット中にありがたい効果を発揮してくれると言われています。
都合がよい事に、ロイシンを摂取することによって、筋肉の量は減らさず脂肪や体重だけを減らしてくれるという期待が持てるのだそうです。
さらに、ロイシンを摂取しながら無理のない運動を加えると、筋肉が鍛えられて基礎代謝量が増え、なおいっそう体重減少に貢献してくれると期待できそうです。
8.ロイシンと高齢者
歳をとるごとに、私たちの体からは筋肉が減っていきます。
普段運動をしない方は、毎年1%ずつ筋肉が減ってしまうそうです。
加齢と共に全身の骨格筋(筋肉)の量が減ったり、筋力が低下してしまうことを、サルコペニア症候群と呼びます。
サルコペニア症候群は、高齢者だけではなく、若い方の間でも、普段運動しない方やデスクワークなど座ってばかりの生活の方、行き過ぎたダイエット中の方でも発症する可能性があります。
サルコペニアではなくても、たんぱく質を合成する力が衰えたり、成長ホルモンや男性ホルモンのテストステロンなど、筋肉に関係したホルモンが減少すると、筋肉量が減少してしまいます。
筋力増加のためには、たんぱく質の摂取が必要となりますが、加齢やダイエットによって、お肉や乳製品などをたくさん食べることができない方は、BCAAなどによってロイシンを補給すると、筋肉の減少を抑えることができると期待されています。
9.ロイシンが多く含まれる食品
ハードな筋トレを行なわなければ、ロイシンは普段の食事で十分に摂取することができます。
ロイシンはたんぱく質が分解されて生成されるので、たんぱく質を多く含む肉類や乳製品、豆類などに多く含まれています。
普段の食事であれば、食べ過ぎてもロイシンの過剰摂取にはならないので、全く心配はありません。
ロイシンの1日の摂取目安量は、2グラム(2000ミリグラム)程度です。
ロイシンがたっぷり含まれている食品の代表は、かつお節です。
かつお節100グラムには、6900ミリグラムのロイシンが含まれています。
しかし、かつお節を100グラム食べることは不可能です。
そこで、たんぱく質を含むいろいろな食品を、少しずつ食べていくとよいでしょう。
主な食品100グラム中に含まれる、ロイシンの割合は次の通りです。
高野豆腐 4500
しらすぼし 3100
乾燥大豆 2900
ナチュラルチーズ 2500
鶏肉 1900
らっかせい 1900
豚ロース 1700
うなぎ 1100
牛乳 310
(単位はミリグラム)
筋力のアップを目標としている方にとっては、食事だけではロイシンの摂取量は間に合いません。
ロイシン単体のサプリやBCAA、HMBで補給をするとよいでしょう。
10.ロイシンを飲むタイミング
ロイシンを摂取すると、30分で血中濃度が最大になります。
そしてそれから2時間経つと、血中濃度は元に戻ってしまいます。
そこで、筋トレを行なう前後にロイシンを半分ずつ摂取すると、運動中のエネルギー補給になり、さらに、運動後の疲労回復に効果を期待することができます。
運動を行なっていないときは、ロイシンを1日3回に分けて摂取するとよいでしょう。
早く筋肉をつけたいからといって、ロイシンを過剰に摂取するのは危険です。
食べ物でたんぱく質を摂りすぎても、最悪太るだけですみます。
しかし、ロイシンを過剰に摂取すると、肝臓や腎臓に負担がかかり、肝機能や腎機能が低下してしまうことがあるようです。
11.まとめ
最近では、アスリートやボディビルダーだけではなく、筋トレを行なって筋肉質の体になることを希望している一般の方が増えてきました。
これは、ライザップのコマーシャルの影響もあるのでしょうか。
私たちが健康的に生きていく上で、筋肉はとても重要な役割を担っています。
どの年代の方でも、ある程度のトレーニングを重ねて、筋力アップと体脂肪減少をこころがけていく必要があるでしょう。
筋トレと言っても、体力や年齢によってできないトレーニングも出てきます。
そのような時に、筋力アップの助けとなる筋肉増強栄養素ロイシンを摂取することによって、少ない運動でも健康な体を維持することができれば、無理なトレーニングによるけがも防ぐことができます。
筋力アップのために、食事と筋肉増強栄養素ロイシンを上手に組み合わせて、効果的にたんぱく質を体内に取り込むことができるとよいですね。
コメント