体は筋肉や骨によって支えられていると、小学生の理科の時間に習いましたが、体の中には、もう1つ体を支えるための重要な働きをするものがあります。
それは、「筋膜」と言います。
今回は、その「筋膜」をほぐすことによって頑固な肩こりをケアして、しかもダイエットにもつなげていく方法を考えていきます。
もくじ
1筋膜とは
2筋膜の働き
3肩こりと頭痛
4筋膜リリースの効果
5肩こりのための筋膜リリース
6筋膜リリースグッズ
7簡単な肩こり筋膜リリース
8筋膜リリースとダイエット
筋膜とは
筋膜とは、体のすべてを覆っている薄い膜のことを呼びます。
鶏肉を食べた時に、なかなか噛み切れない薄い皮がありませんか。
また、鶏肉を包丁で切ろうと思っても、すべって切れないことがあります。
これが筋膜です。
筋膜は、体のあらゆるところを支え、内臓の位置もキープするため、筋膜がなくなると、あやつり人形の糸が切れたように、私たちの体はぐにゃりとしてしまいます。
このため、筋膜は「第二の骨格」と呼ばれています。
筋膜は、皮膚のすぐ下にある浅筋膜と、筋肉そのものを覆う深筋膜に分けられます。
浅筋膜
筋肉のすぐ下にあり、ボディスーツのように体全体をラッピングしています。
主に身体全体を守る働きをしています。
深筋膜
深筋膜は、筋肉そのものをおおっています。
筋肉の固定や、ほかの部分との摩擦を減らす働きをしています。
深筋膜は、さらに4つに分けることができます。
○筋上膜 筋膜の内側にあり、筋肉を追う膜
〇筋周膜 数十個の筋繊維を束ねる膜
〇筋内膜 1本1本の筋繊維を覆っている膜
筋膜の働き
筋膜は、筋肉や身体全体をラップして、外側からの刺激から臓器や筋肉や血管などを守ってくれます。
また、心臓や肝臓などの内臓の位置を維持します。
そして、骨や靭帯も筋膜に覆われているので、姿勢をキープすることができます。
さらに、筋膜にはコラーゲンが多く含まれているので、筋肉同士の摩擦をなくします。
肩こりと頭痛
全く関係ないお話しですが、きつきつの小さな洋服を何とかして着たところ、左の腕のつけねのところにシワが寄って、何となく気持ちが悪い時があります。
そんな時、左の袖口や裾の部分や右側の肩のあたりを引っ張ってしわを伸ばして、全体的に調節をすることがあります。
しかし、左のつけねのシワを直接なでることでシワを伸ばそうとはしません。
毎日の肩こりに悩み、余りにも痛みが頑固だと、頭が痛くなることがあります。
普通頭が痛くなるのは、風邪の時やもっと重要な病気などによって、頭の中に原因があるときに痛むものです。
肩と頭は全く関係ないのに、とばっちりを受けて痛くなってしまい、頭にとってはいい迷惑です。
このとき、肩は頭にとってのトリガーポイントと呼びます。
つまり、頭の痛みをケアするには肩の凝りを取る必要があります。
肩が凝っているために、全く関係ない頭に影響がおよんでいるので、根本の肩を治さなければなりません。
腰が痛くて整体に行ったら、全然関係ない太ももの後ろをマッサージされることがあります。
これは、もともと太ももの後ろのハムストリングスが緊張しているために腰が痛くなっているのであって、太ももの後ろがトリガーポイントとなります。
腰痛の場合、足の裏がトリガーポイントになることもあります。
先ほどのお話しで、腕のつけねのシワをとるには、違う部分を引っ張らなければならないことと同じですね。
筋膜が正常な状態でいると、弾力と伸縮性を持って、筋肉や身体の動きに応じて適正に伸びたり縮んだりします。
ところが、ストレスや生活習慣による癖や怪我などによって、弾力や伸縮性がなくなり硬く締まった状態を、筋膜の拘縮と呼びます。
筋膜が拘縮すると、その中の筋肉も凝り固まってしまい、血行不良になります。
これが、痛みやしびれの原因となってしまいます。
また1か所の筋膜が拘縮すると、その周辺の組織や離れた場所の組織が痛み出したりしびれたりすることがあります。
筋膜リリース(筋膜はがし)は、凝りやしこりをケアすることをいいます。
筋膜リリースの効果
筋膜リリースを行なうと、筋膜がゆるむことによって筋膜の中に包まれている緊張していた筋肉もほぐれて、姿勢が正しくなります。
また、筋膜を刺激することにより、筋肉の可動範囲が広がって、体全体を大きく動かすことができるようになります。
すると、代謝がよくなりダイエット効果が期待できるようになります。
そして、筋肉の可動範囲が広がっていけば、今までと同じトレーニングを行なっても動きが大きくなり、筋トレの効果が大きく現われるようになります。
肩こりのための筋膜リリース
肩が凝っている時に誰かにもんでもらうと、とても気持ちが良いのですが、少し時間がたてばまた肩こりが始まってしまいます。
このように、肩こりの原因となるトリガーポイントを探し出して、その場所をマッサージしなければ、肩こりが根本的にケアされることはないのです。
しかし、トリガーポイント探しは技術が必要で、私たちしろうとには探すことができません。
筋膜リリースはマッサージとは大きく違って、筋肉と筋膜に対して圧力をかけて筋膜を緩めていきます。
ストレッチやマッサージは筋肉を伸ばしたりほぐしたりするため、長く伸びた筋肉をさらに伸ばしてしまうこともあります。
一方、筋膜リリースは、「筋肉の長さを適正に戻す」ことが目的となっています。
筋膜リリースグッズ
背中はなかなか手が届かない部分などで、ちょっとしたグッズを使うと、筋膜リリースを楽に行なうことができます。
テニスボール
テニスボールを小胸筋や肩甲骨あたりやお尻において、体をグリグリと動かすだけで、トリガーポイントへの刺激となります。
グリッドフォームローラー
筋膜リリースには、ストレッチポールを使うこともありますが、大きすぎてじゃまだと思われる方は、グリッドフォームローラーをお勧めします。
これは筒状のポールで、表面がボコボコしているので、トリガーポイントを的確に刺激してくれます。
マッサージボール
テニスボールだとやわらかすぎて、凝りがほぐせないという方には、トリガーポイント専用のマッサージボールをお勧めします。
ボールが小さいので、全身というよりも、範囲の狭い肩こりのときに使うと良いかもしれません。
簡単な肩こり筋膜リリース
筋膜リリースは、トリガーポイントを見つけたら呼吸をしながらゆっくり行ないましょう。
痛みが伴うので、就寝前は避けましょう。
毎日行なうと、凝りをケアする効果が高くなります。
私たちしろうとは、トリガーポイントをピンポイントで探すことはできないので、指で押してみてコリコリとしたものがあったり、押すと痛い場所があれば、そこを筋膜リリースしましょう。
脇
腕のつけ根から、下に向かって押しながら探っていくと、何となく痛い場所が見つかります。
2 コリコリとした部分にテニスボールを当て、上下に3~4cm ほど転がします。5往復行ないましょう。
3 ボールをそのまま置いたまま、上体を手前に倒します。倒したらすぐに元の体勢に戻り、今度はできるだけ天井側を向き、すぐにもとの姿勢に戻ります。
かなり痛みを伴うので、ゆっくり深呼吸をしながら、5往復しましょう。
肩甲骨を下げる
肩こりの多くは、肩甲骨が上に上がり、背中が丸くなってしまうことが原因となります。
2 胸を張り、組んでいる手をできるだけ下に下げていきます。
手を下げると腰が反ってしまうので、お腹をへこませながら行ないましょう。5秒キープして戻りましょう。
小胸筋
肩こりは、背中が丸くなって、背中側の筋肉が伸びます。
すると、胸側の筋肉が縮まってしまうので、小胸筋の筋膜リリースを行ないましょう。
小胸筋は探しにくいのですが、脇の下の少し内側を、テニスボールでグリグリしましょう。
力が入らない場合には、立ち上がって壁と胸の間にテニスボールをはさんで、体重をかけてグリグリしましょう。
筋膜リリースとダイエット
肩こりのための筋膜リリースのついでに、テニスボールやグリッドフォームローラーを、気になる部分でゴロゴロしましょう。
あちこちでつっぱって縮んでいる筋膜をほぐすと、筋肉はもともとの動きができるようになり、可動域が上がります。
そして、すべての動きが大きくなり、筋肉もつきやすくなり、基礎代謝アップにつながります。
また、テニスボールで刺激をすると、血流やリンパ液の流れも良くなります。
ただし、テニスボールでゴロゴロしているだけでは、効果的に痩せることはできません。
あくまでも筋トレの補助として、空いている時間にゴロゴロしましょう。
今までどうしても治らなかった肩こりが、実は全然違う場所が原因だったとは驚きますね。
でもこれで、しつこい肩こりから解放される日が来るかもしれません。
筋膜リリースは少々痛みを伴うようですが、これが取れてくれば痛みも減ってくるので、毎日1分ほどテニスボールでゴロゴロしてみましょう。
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